グロスとネット

2011年12月7日
 グロスとネット、これは主に自動車業界で用いられている用語です。
  グロス・・・エンジン単体にエアクリーナー、マフラー、排ガス規制対策機器などのみを装着した状態で軸出力を直接測定したものです。つまり、カタログデータの数値です。(現在の市販車は、全てネットの数値です)
  ネット・・・エンジンを車両搭載した状態とほぼ同じ条件で測定したものです。つまり実車の実数値です。
何故、このように二つ存在するのでしょうか?当然これらの数値の間には相応の開きがあります。つまり、グロスとはエンジン装置本体だけの性能であり、ネットは実際に車に載せた、重量やギヤの摩擦等により各種パワーをロスした上での数値です。つまり、機械本体の出力だけが問題なのではなく、使用する状況や付帯設備によって数値は大きく変動する、この事を申し上げたいのです。
 
 何度かここでお話にだしております冷凍機ですが、冷凍機の出力数値はネットではなくグロスです。それは、完成品の自動車とは異なり、どのような設備で用いるかがハッキリしていないためです。それが原因となる電気トラブル、実は工場でよく発生しているのです。例えば
 ・電気使用量が多くなりすぎて高圧カット(家庭でのブレーカーが落ちる現象)が発生する。
ことです。しかし、よく考えてみて下さい。工場は当初から
 ・どんな設備を用いるか
 ・それら設備の合計で、どれだけ電気を消費するのか
当然これらを踏まえて建設されているはずです。そうしなければ、製造能力や製品の販売代金が定まらないためです。それなのに、何故高圧カットが発生するのでしょうか?それこそ、前述のグロスとネットの差なのです。
 
 冷却水系統の負荷(スケールや藻の発生による)、これらがグロスとネットの差を軽々と凌駕してしまうからなのです。工場では事前に電気使用量を想定していても、必ずそれにかなりの幅を持たせて電力供給を行うようになっています。何故ならば、高圧カット=操業停止であり、すぐに復旧が出来ない場合は製品の出荷ひいては企業の存続にもダメージを与えかねないからです。冷却水系の負荷、たったこれだけ?との見方をされる方もおられるでしょうが、事態は非常に大きな問題です。余力をもって設計したはずの電力需要の幅を、この負荷が全て失ってしまうのですから。